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絵を描くこと

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』16

絵を描くのが好きです。
今でこそ、色んな場面で落書き(商業としての利益を得ていないという意で)を披露していますが、きっかけ自体は割と普通だったんですよ。
イラストとか漫画とか意識して描き始めたのは小学校低学年のころで、友達の絵を真似して始めたのがきっかけでした。
描いていたのも、某有名RPGの有名モンスターが冒険する漫画で、あの頃はゲームを攻略する漫画の影響を受けてそれっぽいの描いてたなあ、と記憶しています。
なんで興味を持ったんだろうなあ…と思って、家族に話を聞くと昔からお話を考えたり空想したりするのが好きだったみたいで、しょっちゅう母や姉弟、幼稚園の先生などに熱心に話しかけていたそうです。そうなっていくと思ってたとも。
想像力を発揮した子供が絵を描き始める…。すごく自然な流れに感じます。でも、なんか今振り返ると、たぶん僕の場合、自分なりのアウトプットだったんだろうな、と思います。
アウトプットってどういうことじゃいってなると思いますが、さっきの話の続きで、そうやって色んな人に自分の空想を話していたようですが、どうにもそれが巧く伝わることはほとんどなかったようで、一生懸命話している僕も自己完結してはいたものの伝わっていない違和感というのはあったのかもしれないし、もっと自分の世界を表現できる手段を探していたのかもしれない。だから、自分の空想を漫画にすることへの興味は計り知れなかったのでしょう。
そんなわけで、色んなアニメ、漫画、そこにゲームも加わって模写を繰り返しながら、マイペースに過ごしていたんですが、高校時代に出会った友人によって僕の絵はレボリューションを迎えます。
彼はとにかく先鋭な作家やイラストレーターをリスペクトしていて、『To Heart』や『シスタープリンセス』や峰倉かずやさんの絵が流行っていた頃に、熊倉裕一さんや緒方剛志さんやポップンミュージック、果てはマイク・ミニョーラ氏まで…。彼が影響を受けたように僕も彼の影響を受けてひたすら絵を磨いていました。その精神は今でも役者としても染みついていて、おもしろいものや目指したいものは習(倣)おうという姿勢が身についたのです。
そして今。何かしら作品に出演すると収録後に色紙にサインをすることがあります。
僕のサインは結構わかりやすくて、ひらがなにした名前で書けるようにしています。全体視するとハートをあしらってあり、二十代前半の自分のなまいきさが伺えるというものです。
特に自分の関わったキャラクターたちを紙にしたためると演じた子が自分の中で腑に落ちるというか…自分の中に留まってくれるというか。絵に描くのは割と大事な儀式でもあるような気がします。
そして!これで助かったのは、サインを書いた際に生まれた余白を絵で楽しく埋めることができること!
…まあ、人より時間をかけてしまうので最近は「…あのぅ…絵描いたほうがいいですか…お時間頂いてもいいですか?」と伺うようにしてます。
ではここでちょっとした宣伝。2015年9月18日より公開の劇場版総集編後編『ハイキュー!!-勝者と敗者-』が二週間限定ですが上演開始となります。僕は、主人公たちが所属する高校バレー部“烏野”のライバル校の一つ“伊達工業高校”のバレー部新主将、二口堅治役で出演します。作品も大変に熱く、アニメならではの躍動感に溢れおもしろいので、原作と合わせて今作も見てもらいたいのですが、この劇場版公開に合わせて販売されるパンフレットに寄せた出演者サインにご注目いただきたい!がんばりましたよ!
というわけで今回も読んでいただき感謝!

ただの声優、されど声優

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』13

改めまして、旧(有)トリトリオフィスと旧(株)トリアスが合併しまして、パワー・ライズの所属となりました、声優・中澤まさともです。
と言っても、旧トリトリの時のスタッフもそのまま移っているので個人的には大きな変化はなく、むしろ人員も増加し新しい可能性へと繋がればとより一層自分の仕事に従事する次第です。

さて、今日は“声優”という仕事の“本質”について考えてきたことをぽつぽつと。結論としては「調子乗んなよ」的な自分への戒めとしてのログになりそうです(笑)

声優は素敵なお仕事です。僕自身、アニメやドラマCDやラジオといった媒介を通じて人生を楽しく豊かにしてもらいました。そして、僕の導き手となってくれました。
だから今、僕はこの世界に居るわけです。
まず僕は台本を手にしています。決められた時間にスタジオに入り、ミキサーに繋げられたマイクを前に、ディスプレイに写された絵コンテと線画で構成されたリハVを観ながら声を吹き込みます。台本の半分くらいを収録し、直すべきところを指摘頂いたらそこから一つ一つ修正して録り直します。30分アニメなら二パートに分けて収録し、大体三・四時間くらいかけて全て録り終えたらその日の仕事は終了です。

アニメ収録現場は大体こんな感じです。
マイクの前で演じる声優は、その声の魔力を駆使して役に音という波を与えて存在感をより強めさせます。僕もまだまだ拙いながらも、自分の役に役割と然るべき魂を与えます。それが為すべきことなのですから。そこに僕が憧れてきた声優としての誇りがあるのです。
本当に声優は浪漫のあるお仕事です。

だがしかし、僕は自分に問いただします。
「いやいやちょっと待て。自信を持つのは結構だが過信になってないか? 誇りを持つのは結構だが尊大になってないか? 自分の仕事の本来の形を忘れちゃいけないぞ」
と。

ここでちょっと“声優の仕事”を、このアニメ収録現場から分解して、声優というものの核を拾い出しましょう。
まず自分の持っている台本はライターさんがいないと手元にありません。
スタジオを管理する担当さん、マイクをミキサーに繋げて録音できる状態にしてくれる音響さんがいないと自分の声はただ虚空に響くばかり。
ディスプレイに写されたリハVは、絵コンテや線画の未完段階をアニメの製作とは別に録音用に編集してビデオ化してくれる撮影さんがいないと明確にどんな声を吹き込めばいいのか曖昧になります。
音声を演出する音響監督さんがいないと声優自身では気づかないテクニカルエラーを修正できず、この作品を統括する監督さんがいないと最終回まで内容が分からないままでは何を道しるべに自分の役を終わりまで導いていけばいいのかわかりません。
そして、諸々の工程を管理し指示を出す制作進行さんがいなければ収録までに用意する必要があるものを揃えられませんし、そもそも、アニメの企画がなければ仕事すら成立しません。
つまり本質だけの話でしたら、声優は“人間の音”担当で、アニメ一話の製作過程の中では諸々お膳立てしてもらった終盤の作業なだけなのです。
でも声優はそこに浪漫を生み出します。だから日本のアニメファンもこの作業に浪漫を感じてくれます。
もしかしたら海外と日本の声優の職業意識や聴者さんからの評価の違いはこの【+浪漫】が関わっているのかもしれません。

今のところここまで考えた中で、僕はどうしていくかをまとめます。
『只の音にならないよう、粋を籠めて息を操る唯の声優で在れるよう、プロフェッショナル達の中で、同じ“創る人”としての仕事をしていこう』
今回も読んでいただきありがとうございます!

それでも好きだから頑張れる

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』03

夏ですね。暑いですね。
皆さん、国際展示場で開催される夏祭りなどでは熱中症にならないように準備は早めに済ませて、お風呂に入って(そのあと水分補給して)寝ましょうね。正常な代謝を維持していないと、ほんとに倒れちゃいます。徹夜ダメ絶対!
さて、この時期の声優は秋番組や秋リリース作品の製作に参加し始めている状態だったりしますが、僕はと言うと、悲しいかな、秋のアニメ番組の出発時はどの作品にもいないと思われます。
何故ならオーディションになかなか受からないから…。
と言うわけで今日はオーディションのお話です。

オーディションと言えば、僕が今いる世界に関わったのもオーディションからでした。
齢16にして受けた声優グランプリさん主催の『声優スター☆誕生計画』。あの頃はとぉってもフレッシュ!でしたが、声優になりたいのと同時にやりたいことが色々有りすぎてひどく意識は散漫だったように思います。
数年前から声優としての足場を固めることに従事するようになって、ようやく今の立場まで歩を進められました。僕は不器用ものですから、それくらいの意識でないとやっていけない世界だったのだなあと回想します。
もちろんまだまだこれから先へと進んでいきますが。
とまあ、そんなわけで役者になったら避けることのできないオーディションというもの。こいつがなかなか受からない…!実に悔しいのです!
僕なんかもう毎度落ち込みますし、規模は様々なれど、心底悔しいことの方が多いです。オーディションに落ちた連絡受けたら電話切ったあと「グギギーッ!」って言います、自宅で。外では「……クッ……!」って言って大きく息を吐きます。声にするばかりが声優ではございません。なんて。
そんな僕は先輩によく言われます。「オーディションは100件受けたら99件落ちてようやく受かるくらいに思った方がいいんだから、毎回悔やんだり落ち込んだりしてても仕様がないよ?」と。
いやいやまたまたー。先輩達だって悔しいですよね?落ち込みますよね?ね?

先輩「…(黙って頷く)」

さておき、こんなことばかりで心は大丈夫なの?と心配もされます。確かにオーディションの合否が出る頃に限っては大好きなアニメ・マンガも僕をキリキリと苦しめることがあります。
「ああ、己が不足しているゆえに、自分はその作品世界には居ないのだ…」と。
特にオーディションに落ちた作品のオンエアを観るときは歯を食い縛りながら観てたりします。
痛くても辛くても、それでも観ます。
何故なら今自分がその作品世界に居ないのは自分の不足であって、紛れもない事実ですし、自分が受からなかったキャラクターを受かった人がどう仕上げたかやっぱり気になるわけで…学ぶことが多少なりともあるからです。
それにどうしてもアニメ・マンガが好きだし、関わっていたい世界ですし、僅かでも学んで自分の茎を伸ばさないとって思っていますから。
ところで9月26日発売のコマネックスDVD『BLB』はご予約頂けましたか?
ベーコンレタスバーガー専門店BLBに勤める個性豊かな店員達のわいわいと賑やかな日常劇は楽しいものです。
僕の演じる馬場優人くんは、実はオーディションで受かった役なのです!嬉しいものです。諸手を挙げて喜びました。
……ん? と言うことはこれから99件はオーディションに受からないということでしょうか?
……大袈裟な話ですが想像するととてもお腹が痛くなります。
早く各方面より信頼を頂けるよう焦らず、しかしがっつりと、且つ丁寧に作品世界を描くお手伝いをしていかなければと思います。