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歌うこと

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』02

 皆さんにはだいぶ知られてきていることだと思いますが、声優だって歌います。
 演じるキャラクターが内包した作品においてのテーマをキャラクターソングとして演じるキャラクターのまま歌ったり、はたまた一人のアーティストとして音楽を作ったり。
 特にキャラクターソングというものは、物語を通さないと表現できない“キャラクターらしさ”をたった数分で端的に表現できてしまうのですからすごいものです。
『越えざるは紅い花~大河は未来を紡ぐ~』のイベントで、僕の演じたルジの歌を歌わせてもらったのですが、歌の雰囲気・歌詞などまさに“ルジ”という人物をかたどっていたと思います。さらに自分が演じてきたこともあるものですから、歌詞がスルスル覚えられる!というですね…(笑)
 それらも含めて、この一・二年で歌う機会が増えました。
 ライブイベントやCD企画に参加してみたり、自分でイベント用意したり、お仕事で歌わせていただいたり…。
 子供の頃から歌うことが好きでした。今も好きです。
 ただ上手いとは思っていません。謙遜でもなく卑下でもなく、事実としてそう思います。出せる高音が限られますし、音程もまだまだ不正確ですし、リズム感もありません。それはこれまでアーティストさんや歌手のお仕事を見たり、先輩・後輩の歌を聴いてきて痛烈に思ったことです。上手い人がいっぱい居て臆してしまいます…。
 しかし、僕が僕の行きたい道を行く限り、今後も歌う機会があると思うのです。
 同業の方の中には『声優はあくまで声の演技をするもの』として、歌のお仕事をお断りになる方もいらっしゃいます。また『キャラクターのイメージを著しく損なう』という理由から歌われない方もいます。どちらもキャラクターを演じることを第一とした専門職としての意識がありますね。
 話は変わりますが、そういう意味では昨今言われている『タレント・芸人さんが声優業に挑戦すること』と『声優が歌うこと』の問題点は似ているのかもしれません。
 声優の演技には(作品の系統にもよりますが)専門の技術が必要です。そして、自分が歌っていても思うのですが、歌うことにも専門の技術が必要です。タレント業も、芸人も、俳優業も、モデルも、アイドルも、“エンターテインメント”という大きな幹から枝分かれしてそれぞれの花と果実を実らせるにはそれに見合った栄養配分(訓練)が必要なのでしょう。
 皆さんも歌を聞いていて感じたことはないでしょうか?
 「アーティストとして歌っているのに音楽ではなくキャラクターソングのように聞こえる」とか「歌が上手すぎてキャラクターソングに聞こえない」などなど…。
 個々人の感覚ですので、誰がどうとか言い始めるのは非常にナンセンスですがこういった話を聞いて「では自分はどうしていこうか」などと考えるのです。
 僕はと言うと“巧く出来た方が楽しい”という思考でいますし、製作者のイメージを叶えたい気持ちが何よりもあるので技術を高めていきたいと思っています。そのために訓練も受けています。
 自分にとって歌う意味とクリエイター側が僕に歌わせる意図にしっかり向き合って、自分の立場を理解して“歌うこと”に本気で挑戦していかないとと考えているのです。
 特に一人のアーティストが自分のテーマを持って自分の音楽を進んでいくのとは別に、声優は自分の演じる役のテーマに沿った音楽を、自分に合うか合わないか関係なく歌うことになったりするわけで…サントラや和む系の音楽ばかり聞いている僕も広く音楽に触れていかなければなと、そう思うのです。
 ひとまず今自分の手元にあるものと向き合って今日も頑張ります。