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ただの声優、されど声優

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』13

改めまして、旧(有)トリトリオフィスと旧(株)トリアスが合併しまして、パワー・ライズの所属となりました、声優・中澤まさともです。
と言っても、旧トリトリの時のスタッフもそのまま移っているので個人的には大きな変化はなく、むしろ人員も増加し新しい可能性へと繋がればとより一層自分の仕事に従事する次第です。

さて、今日は“声優”という仕事の“本質”について考えてきたことをぽつぽつと。結論としては「調子乗んなよ」的な自分への戒めとしてのログになりそうです(笑)

声優は素敵なお仕事です。僕自身、アニメやドラマCDやラジオといった媒介を通じて人生を楽しく豊かにしてもらいました。そして、僕の導き手となってくれました。
だから今、僕はこの世界に居るわけです。
まず僕は台本を手にしています。決められた時間にスタジオに入り、ミキサーに繋げられたマイクを前に、ディスプレイに写された絵コンテと線画で構成されたリハVを観ながら声を吹き込みます。台本の半分くらいを収録し、直すべきところを指摘頂いたらそこから一つ一つ修正して録り直します。30分アニメなら二パートに分けて収録し、大体三・四時間くらいかけて全て録り終えたらその日の仕事は終了です。

アニメ収録現場は大体こんな感じです。
マイクの前で演じる声優は、その声の魔力を駆使して役に音という波を与えて存在感をより強めさせます。僕もまだまだ拙いながらも、自分の役に役割と然るべき魂を与えます。それが為すべきことなのですから。そこに僕が憧れてきた声優としての誇りがあるのです。
本当に声優は浪漫のあるお仕事です。

だがしかし、僕は自分に問いただします。
「いやいやちょっと待て。自信を持つのは結構だが過信になってないか? 誇りを持つのは結構だが尊大になってないか? 自分の仕事の本来の形を忘れちゃいけないぞ」
と。

ここでちょっと“声優の仕事”を、このアニメ収録現場から分解して、声優というものの核を拾い出しましょう。
まず自分の持っている台本はライターさんがいないと手元にありません。
スタジオを管理する担当さん、マイクをミキサーに繋げて録音できる状態にしてくれる音響さんがいないと自分の声はただ虚空に響くばかり。
ディスプレイに写されたリハVは、絵コンテや線画の未完段階をアニメの製作とは別に録音用に編集してビデオ化してくれる撮影さんがいないと明確にどんな声を吹き込めばいいのか曖昧になります。
音声を演出する音響監督さんがいないと声優自身では気づかないテクニカルエラーを修正できず、この作品を統括する監督さんがいないと最終回まで内容が分からないままでは何を道しるべに自分の役を終わりまで導いていけばいいのかわかりません。
そして、諸々の工程を管理し指示を出す制作進行さんがいなければ収録までに用意する必要があるものを揃えられませんし、そもそも、アニメの企画がなければ仕事すら成立しません。
つまり本質だけの話でしたら、声優は“人間の音”担当で、アニメ一話の製作過程の中では諸々お膳立てしてもらった終盤の作業なだけなのです。
でも声優はそこに浪漫を生み出します。だから日本のアニメファンもこの作業に浪漫を感じてくれます。
もしかしたら海外と日本の声優の職業意識や聴者さんからの評価の違いはこの【+浪漫】が関わっているのかもしれません。

今のところここまで考えた中で、僕はどうしていくかをまとめます。
『只の音にならないよう、粋を籠めて息を操る唯の声優で在れるよう、プロフェッショナル達の中で、同じ“創る人”としての仕事をしていこう』
今回も読んでいただきありがとうございます!

幸せだけど、まだまだ。いつも自分のいる場所を知っておくこと

中澤まさとも『人生のパクが早上がりでもさ!』09

2015年2月14日、誕生日を迎えました。
これを書いている今も色んな方からお祝いいただいており、本当にうれしいです。
一年一年を積み重ねて、有り難いことに少しずつ行きたいところ、出会いたい人たち・作品たち、やりたいことを順序よくやれている気がします。ここに至るまでのブランクはありますが、めげずに腐らずに、ある意味ひたむき、ある意味意固地に続けてきた甲斐があるというものです。

今の自分を客観的に見て、非常に恵まれていると思います。
須らく良き縁が巡り、頂けているものなのだと肝に銘じてお仕事をさせていただいています。
もちろん、まだまだ行きたいところや出会いたい人たち・作品たち、やりたいことは自分のはるか頭上の空にちらちらと星のように瞬いています。
それが流星になってこぼれた時、その星を掴めるか、ほうきの煌めきにしがみつけるか…。去年もそうでしたが、今年も丁寧にお仕事をする年なのだと肝に銘じております。

それから、今年の目標の一つは【収録の丁寧さに速度と正確さを加えること】。
ご存知の方も多いと思いますが(とは言え知らなくても別に何でもないことですが)、ゲームや一部のドラマCDでは声優一人での収録が主になります。
独りで収録するものですから、自分がセリフを喋って「うーん…違うな」と思ったら、「すみませんテイク2お願いします」と同じセリフを言いなおすこと(自分リテイクと言ったりします)が一応可能で、僕は収録の時にディレクション側からのリテイクとは別に自分なりの良質を求めて言いなおすことがあったり、お願いしたりするわけです。
…あ、でもディレクター側からOKを頂いたセリフに対して「自分が納得いかないから」というだけで物言いを出すのは、まあ、よろしくないので、きっちりと思っていることを相談したり、ディレクション側を信じて演じきったりと現場の中での判断の仕方も色々ありますが。
それから、自分のセリフを一言ずつデータとして分ける作業を音響さんがしてくださるのを考えると……音の編集に関しては、僕も過去に少量ながら経験したことがあるのですが…あれはなかなか時間がかかる作業です。演者が二回言いなおすだけで、チェック量は二倍になるわけです。その数が増えたり、どれがOKテイクなのか判別したり、あっちにあったりこっちにあったりする修正箇所を探したり…波形で何となく見分けがつくとはいえ、たくさんあればあるだけ大変になるわけでして…。
自分のできる範囲で質を高めるのは好いことだと思ってやっていますが、自分だけ良くてもしょうがない。
ディレクターさんや、プロデューサーさんや、音響さんのためにも一発の質を高めていかないとと思う次第です。そのためにも収録前にどれだけ読み込めるか、自分の思う通りの音を出せるようにするか…。日々鍛錬です。より先の自分をイメージして進んでいきます。

なんだか話は逸れました。というか、せっかくの誕生日なのに「真面目か!」みたいな感じになりましたね。うーん…。
元の性格もありますが、この数年はこんな感じのことばかり考えていて、なにも気にせず浮かれて遊ぶことがなかなかないようです。どうやら、油断してまたチャンスをこぼし落とすのを恐れているようです。
でも、皆さんにわっとお祝いしていただいて、胸が暖かくて拳が熱くて、本当にありがたくて…だからひとまずもっと頑張ろうと思います。
行けるだけ前に進んで、それでたまにステージ企画やイベントなどで皆さんの前に立ってしっかりごあいさつできたらなと。
なのでバタバタしますが今歳もよろしくお願いします。
皆さんにも≪ハッピーバレンタイン♪≫届きますように!